こんにちは、工房の佐々木です。


 工房での私の主な担当は、パターン(紙型)設計と裁断・製甲です。木型を削ることや、「つり込み」「底付け」はしていません。「底付け」は靴学校時代に授業の中でやった事がある程度です。


パターンをおこすと、まず確認のために、革で簡単にアッパーを作り、形にしてみます。それを木型につり込んで、木型に合っているか、ラインは思う通りか、バランスはどうかなどをチェックします。


目に見えるライン修正や木型についている、ついていないなど触ってわかる修正は比較的やりやすいのですが、つり込みしやすい、しにくいという感覚だけは、実際につり込んだ人でないとわからないので、修正がとても大変です。


仮縫い靴、納品靴ができた後には必ず、つり込んだ人に、踵はどうだったか、甲はどうだったかなどの確認をしています。そして、良くなかった時は、話し合って原因を推測して、次に他の方法を考えて改善していきます。

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 でも、もし自分でつり込みまでやっていたら、その感覚を底付けの担当者と共有できるのではないかと思います。原因も改善策ももっとわかってくるのでしょう。全工程を一人でやっていなくても、できる職人さんは何人もいます。とても理想的です。ですから、全部はできなくても、自分の担当している次の工程はできるようになりたいと思っています。


そこで、久し振りに自分の靴をつくってみる事にしました。次のREGAL TOKYO REPORTの原稿を書くときまでに形になっているでしょうか。靴の学校の時にうまく出来ず、何回か泣いたこともあったので、ちょっと心配です。

こんにちは、工房の田尻です。いつの間にか桜も盛りを過ぎてしまいましたが、お花見は行かれましたか?私は、工房スタッフと一緒に日比谷公園でお花見ランチをしてきました。普段は、地下で製作に勤しんでいるので、たまには青空の下に出て伸び伸びとするのも良いものでした。


  さて、今日は注文靴のサンプルについて少し述べさせてください。


 注文靴(ビスポーク)は目の前にある靴を買うわけではなく、お客様が頭の中で描いている靴をカタチにして差し上げるという作業なのですが、これは本当に難しいことです。


  お客様がなぜビスポークを作ろうと思われたのか、どんなシーンでお履きになるのか、その靴を手に入れることによって何を得たいのか...等、お客様との会話やお会いすることによってインスピレーションを得るわけです。それを元に、作り手が靴に反映させて行くのですが、その時にお客様と作り手の間でイメージを共有する架け橋として「ビスポークサンプル」が大きな役割を果たします。全くモノがないと不安になりますが、だいたいこんな感じと把握できればおたがいに安心できます。私たちはこういうことを考えて提案しています、という思いがカタチになっているのが「ビスポークサンプル」です。作り手側からのラブレターとも言えますね。


 それでは、最近製作したサンプルを1点ご紹介してみましょう。


この靴は藍染めによる牛革のワンピースで、革の自然な風合いを残した仕上げとなっております。藍染めとは「ジャパンブルー」として世界的に知られた青と紫が美しく調和した色ですが、今回使用した藍は阿波(徳島県)のもので、上質の「すくも」を使った藍染用の溶液で何回も染色を繰り返すことによって深みのある色が良く表現されています。使うほどに色の変化が楽しめる面白い素材です。底付けはノルベジェーゼ製法を用い、インパクトを持たせながら手の温かみを残しました。また、シューレースの先端に甲革と共革を巻きつけて、シンプルなデザインながら装飾性を高めてみました。


このサンプルからどんなお客様とイメージを共有できるようになるのか、とても楽しみにしております。


カタチにする

March 06 2009

ビスポークサンプルを作る時、スタッフの間でイメージが分かれ、なかなか仕様が決まらない時があります。


今回はサドルシューズを水染めコードバンで作ることになり、9色から2色を選ぶ時も36通りの組み合わせがあるので、どの組み合わせにするのか、もちろん意見が分かれました。


その後、話し合いで藍染と柿渋に決まりましたが、同じ革の組み合わせでも どのパーツにどの色を使うかでどれくらい印象の違うものが出来るのか試してみよう という事になり、左右の色を逆にして作ってみることにしました。



 どうでしょうか?



お客様でもイメージだけでは決めかねて、仮縫い時に革の組み合わせや色、トウキャップの形、メダリオンなどを左右で変えて試される方がいらっしゃいます。


デザインによって履き心地が違ったり、木型に合わせて一つ一つ型紙をおこすので、左右で全く別の仮縫い靴を作ることは出来ませんが 、悩まれているお客様のイメージを出来るだけ仮縫い靴に盛り込めたらと思います。


矛盾してしまいますが、左右どちらも選べず、悩みを増やすような素敵な仮縫いの靴ができたら最高かもしれない と思うこともあります。

こんにちは、田尻です。


REGAL TOKYOでお客様が靴をオーダーされる際、我々スタッフと仕様や拘りの部分について一つ一つ確認しながら決めていきます。なかには、1足目は無難に黒をチョイスしても、やはりフルオーダーですから2足目以降となると少し色や素材で遊んでみたくなるお客様もいらっしゃいます。そんな時、お客様から「この革で靴を作ったら、どんな色のベルトを合わせたら良いのかなぁ?」と相談されることがあります。


靴とベルトの色というのは、同色で合わせるのが基本と申しますが、私見ではそれほど厳密に合わせる必要はないと感じております。しかし、靴の革の素材、色が既製のものでは全くないような場合にはお困りになる方も多いのではないでしょうか。


REGAL TOKYOではそんな方のご要望にお応えして、ビスポークをオーダーされた方のみ、ベルトのオーダーも承っております。例えば、こちらのベルトは、靴のカーフとリザードの異素材によるコンビ仕様をベルトにも応用したものです。出来も非常に良く、とても素敵な仕上がりになっています。コードバンやリザードのように革の大きさが小さいものや、衣服への色移り等の問題がありますので、どんなものでも受け付けられるという訳ではないのですが、靴の雰囲気に合うベルトがなかったり、靴と同素材でベルトが欲しいと思われたらお気軽におっしゃって頂ければと思います。 

先日、あるお客様のビスポークシューズの納品が行われました。その靴はこのお客様にとって5足目のオーダーになります。これまでの4足で使用してきた革も、ボックスカーフ、コードバン、リザード、それにクロコダイル とほとんどの種類を網羅してしまいました。そして今回は、仏製アニリンカーフで、色はバーガンディ。レースステイ部分はギリータイプになっているのですが、紐を掛ける部分に小さいシルバーのコンチョが付くのです。ビスポークならではのオリジナリティ溢れるデザインです。


お客様はシルバーなどがお好きで、同じコンチョをベルトにもつけていらっしゃいます。今回は、その思い入れのあるコンチョを靴にも付けて欲しい、ということからこのビスポークは始まり、このデザインにたどり着きました。つくり手側から見ると、明らかに作るのが難しい靴ですが、お客様とお話していると、何とかして思いを叶えてあげられないか、という気持ちが湧いてきて、試行錯誤しながら靴づくりを進めていきました。


仮縫い段階ではほとんどワンピースで作ることになっていたのですが、コンチョの迫力が出すぎている感じがしたので、つま先部分をショートウィングチップに、踵も切り離してそれぞれに親子穴を入れることになりました。アッパーにどうやってコンチョを付けるか、ということも大きな課題でした。初めはギリータイプなのでベロがない仕様だったのですが、裏側にどうしても凹凸が出てしまうのです。スタッフといろいろ話し合って、甲の部分は当ると痛みを感じやすい部分でもあるので、ベロを付けることになりました。


そして、遂に完成した靴をお客様に納品することになりました。お客様はその靴をご覧になって、とても喜んでいらっしゃいました。私には、このデザインにたどり着くまでに話し合った色々な事、いざデザインが決まってからカタチにするまでの試行錯誤、などの紆余曲折が思い出されました。お客様の想いがこもった一足を、何とかカタチにできたことで、お渡しした時に、お客様とつくり手が一緒に達成感を味わう事ができた瞬間でした。その一足には、お客様とつくり手の色々な想いが「Share」されて、こもっているように私は感じたのでした。

飾り穴について

November 07 2008

こんにちは、工房の佐々木です。


革に小さな穴を開けて靴を装飾する『飾り穴』というものがあります。大・中・小の丸穴を組み合わせると、いろいろ雰囲気の違う靴が出来上がります。組み合わせだけでなく、穴と穴の間隔、穴と糸の間隔を少し変えるだけで靴全体の雰囲気が違ってきます。


靴の大きさや出来上がりのイメージ、お客様の好みに合わせて担当者と細かい設定を決めます。それぞれ好みが違うのでいろいろなアイディアを持ち寄って『こちらの方がきれいに見える』、『こっちの方が良い』など意見をぶつけ合いながら仕様を決めることもあります。


 

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 穴の大きさや間隔の設定を細かくしても、ミシンでまた変わってきます。  私は安定してミシンをかけられる設定が好きですが、限りなく穴の近くにかけるようにと担当者から指示されることもあります。そうなると攻める気持ちが大切になってきます。攻めすぎると針が穴に落ちてしまいますし、逃げるとバランスの悪いものが出来上がります。ミシンの最後の一針を縫い終わるまで気が抜けません。



 

20081107-3.jpg 最近、お客様と担当者と話し合って作ったお気に入りのバランスの飾り穴があります。出来上がってお客様に納めたときは本当に嬉しかったです。これからも、お客様の要望を出来るだけ取り入れながら、満足していただけるような靴を作っていきたいと思っています。

マイラスト

October 10 2008

こんにちは、工房の田尻と申します。私は、採寸や木型作製、底付けなどを担当しています。

 さて、ビスポークというとなんだか取っ付きにくいイメージをお持ちの方も多いと思います。既製靴に比べて、価格は高いし、時間もかかる。その上、出来上がりの靴がどんなものになるか不安・・・など。私は今までお客様とお話をしてきて、皆さん、多かれ少なかれこのような不安をお持ちなんだなぁ と感じておりました。そのようなお客様に対して、靴づくりの工程や出来上がる前に仮縫いをして靴のバランスを確認することが出来る等色々なご説明をしているのですが、最後に既製靴との明確な違いをお話しするようにしています。

それは『自分専用の木型「マイラスト」を持つ』ということです。皆様良くご存知だとは思いますが、靴をつくる際に木型という人間の骨格にあたるものが必要になります。ですから、既製靴というのは、メーカーが数ある木型の中から靴の完成イメージに合うものを選んで作った工業製品と言えると思います。




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 消費者は、その中から一番自分の足に合った靴を選ぶということになる訳です。足にぴったり合う人であれば全く問題ありませんが、少なからず足を靴に合わせなければいけない箇所がおありの方が多いのではないでしょうか。

そのような不満をお持ちの方のために"自分専用の木型を持つ"意義があります。ビスポークでは、靴に対して、より能動的に自分の求めるフィッティングを作り手と話し合いながら探求していくことができるのです。ビスポークが1足目より2足目、2足目より3足目と言われるのはその為なのです。お客様と職人の息が合う事によって、より完成度が高まっていくということですね。

歴史上、靴は、「足を保護する」という一番の機能を持って、「履き物」として登場しました。そして、その機能以外にも、階級社会のひとつのアイコンとして、位置付けられることもありました。しかし、既成靴が充実している現在の環境において、注文靴の位置付けは、ご自分の意思で自由に選択できる一つになったと言えると思います。そのような意味では、注文靴は意外と身近な距離にあるのかもしれません。

水染めコードバン

August 27 2008

はじめまして、REGAL TOKYOの斉藤です。

 

 REGAL TOKYOではビスポークシューズの

作製をご要望されるお客様のために150種類ほどの革を用意しております。

 

カール・フロイデンベルグなどの欧米の「ブランド革」とも呼べるものからお客様のご要望が多い色を別注して色出しをした国産の革など色々なものを揃えております。今回はその中でもひときわ人気の高い、「水染めコードバン」のお話をさせて頂きます。

 

当店のコードバン靴の素材には2種類あるのですが、一つが通常のREGALにも使用されている顔料仕上げのコードバン。 そしてもう一つがREGAL TOKYOのオリジナルシューズにも採用されている水性染料を使用した「水染めコードバン」です。この「水染めコードバン」、実は国内の某タナリーにて熟練職人により丁寧に一枚一枚手染めされているもので、海外のメーカーからもその品質を絶賛されているものなんです。

ところで普通、皆さんが思い描くコードバンは表面がツルツルしていて、牛革には無い独特の光沢がある素材だと思うのですが、この「水染めコードバン」は素の状態では意外に光沢が無いのです。 これは染料仕上げによって革の風合い、柔らかさを生かしているからなのですが(顔料仕上げだと簡単に光沢が出せる)、コードバン専用クリームを塗りながら時間をかけて磨きこむことによって、上品な光沢が出てくるのです。 

また、その色合いは染料仕上げなので、独特のムラ感があり、時間が経つにつれてなじみ、何ともいえぬ落ち着いた風合いになります。 特に当店の「ビスポーク」、「Built to Order」で使用しているカーキ色の水染めコードバンは最初やや緑がかっているのですが、時の経過とともに黄色みを増し、枯れたような独特の色合いになりオススメです。 




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   ちなみにこれからのシーズン、今注目のアメリカントラディショナルスタイルにぴったりなのが、「ジョンストン&マーフィー」の「シグネチャーシリーズ」のコードバンシューズです。 クラシックな丸みのある木型に返りのよいクレープソールを組み合わせているので、「水染めコードバン」の柔らかさを実感できるはずです。 ちょっとゴツめのソールやコバの張り出しが適度なボリュームを醸し出しているので、秋冬の厚手な素材とも相性ぴったりだと思うのですが、いかがでしょうか? 


 更に自分だけの1足を手に入れたい方には、「Built to Order」という方法もあります。 靴の素材といえば欧米の一流タナリーのものが最高と言われている昨今、日本が世界に誇る「水染めコードバン」に注目してみてはいかがでしょうか?

 REGAL TOKYO プレス担当の布施です。

これからお客様が、興味を持っていただけるような情報発信をしていければと思っております。

よろしくお願いいたします。



 REGAL TOKYO では REGAL直営で、唯一ビスポークシューズ(フルハンドメイド)を受け付けております。オーダーは2階のサロンで職人と会話をしながら(Be Spoken)詳細を決めていきます。


地下の工房で製作される靴は職人の魂が込められた究極の一品です。


REGAL TOKYO では お客様のさまざまなご要望にお応えするため、革の色や素材を豊富に揃えており、完成イメージがわかりやすいようサンプルも展示しております。


具体的な仕様は仮縫い後に決定しますので、お引渡しのときにはお客様の満足度は他では味わえない最上のものとなります。


今回、製作中のビスポークシューズの中で個性ある一足を見つけたのでご紹介いたします。

 

 



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ビスポークシューズではこのような靴を作る工程の中で数々の職人技を感じさせてくれます。


たとえば、甲革に飾られているパーフォレーション(穴飾り)の抜き方ですが、職人が一つ一つ丁寧に手で抜き取っていく工程は目を見張るものがあります。また、きれいに縫製された甲革は、完成された木型に釣り込まれ美しいラインを描きます。


ところでコンビネーション・シューズはスポーツから誕生した靴であることはご存知でしたか?英国発祥のスポーツ、クリケットは日本でこそまだ知名度は低いようですが、世界100カ国以上で愛されているインターナショナルスポーツです。


元々、13世紀に羊飼いが仕事の疲れを癒すために始めたゲームだと言われています。やがて、貴族や富裕階級の間で人気が高まったクリケットは「紳士のスポーツ」として親しまれ、18世紀から19世紀にかけて英国のスポーツから世界のスポーツへと定着していきました。

 

そのクリケットをプレーする選手が履いていた靴がコンビネーション・シューズで、紳士的な振る舞いと社交を促進するため、試合を観戦する観客もスペクテイター・シューズ(観戦用)として取り入れ、コンビネーション・シューズは発展していったのです。


現代では初夏の装いに合わせ、足元を軽やかに彩るコーディネイトとして人気がありますが、色目だけでなく、素材感の組み合わせも選べるビスポークでお客様だけのオリジナルシューズを仕立ててみてはいかがでしょうか?


     現在ビスポークシューズはご注文からお引き渡しまで6ヵ月ほどお時間をいただいております。

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